社団法人ジェネティクス北海道

     

牛凍結精液の保管と取扱いline

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凍結精液と液体窒素の特徴

凍結精液は、液体窒素タンクの中に保管することによって、半永久的に品質を
保持できます。

凍結精液の品質を維持するためには、ストロー内の精液の温度が-150℃以上になら
ないように取扱ってください。

液体窒素は非常に低温の物質で蒸発しやすく、凍傷をおこしたり、容器が破裂したり、
酸欠を招くなど、重大な事故を引き起こしかねない危険なものです。

・ 液体窒素の取扱いには、耐冷手袋(軍手などは厳禁)、顔面シールド、安全ゴーグルなど、保護
具を着用し、室内の換気を十分行ってください。

凍結精液保管用の液体窒素タンクの取扱い

液体窒素タンクの基本的な取扱いは、それぞれのタンクに添付されている説明書に従
ってください。

タンクは直射日光の当たらない、清潔で換気の良い所に置いてください。

・ できるだけ乾燥した場所で板の台の上などに置いてください。

タンク内の液体窒素量を定期的に確認してください。

・ タンクの機種、設置場所、気温、キャップの開閉頻度などによって、液体窒素の消耗量は異なり
ますが、少なくとも毎週1 回、定期的に専用のメジャーを用いて液体窒素量を確認してください。


タンクの構造と容器内の温度(クライオワン社製:温度分布は液体窒素量が1/4 の例)

凍結精液ストローの取扱い

当団の凍結精液ストロー(0.5 ml)は、外気露出による精子への傷害を避けるため、
プラスチックケインに入れて販売しています。
ストローは、融解時以外、ケインから出
して外気に露出することは避けてください。
液体窒素タンクの中のケインを別のタンク
に移動する場合やケイン内のストローを別のケインに移す場合は、次のように取扱って
ください。

図2 凍結精液ストローの外気露出が精子に及ぼす影響

凍結精液ストローを無風あるいは軽風下で、外気(30℃)に2〜10 秒間・5 回反復露出したのち融解した精液の精子性状。先体正常・生存精子(棒グラフ)
と最活発前進精子(折れ線グラフ)の割合は対照群(外気露出なし)の値を100%として算出。

図1 凍結精液ストローの外気露出時の温度変化

凍結精液ストローを無風あるいは軽風下で液体
窒素から取出し、3 秒間外気(30℃)に露出した
時のストロー内温度の変化。


 

ケインの移動:液体窒素タンクから取出したケインは、2〜3 秒以内に別のタンクに移動してください。

・ タンク内のキャニスターから取出したケインを3 秒間外気に露出後、キャニスターに戻し、ケインを収納したキャニスターもタンクの元の位置に戻す操作を繰返した場合、ケイン上段に収納されている凍結精液ストローの温度は、3 回目の外気露出により、精子が傷害を受ける可能性のある温度(-150℃以上)になります(図3)。

・ ケインの反復移動、とくに液体窒素量の少ないタンク同士の移動は避けてください。

図3 ケインの外気露出に伴う凍結精液の温度変化

ケイン全体を3 秒間外気に露出したのちキャニスターに戻し、キャニスターもタンク内に下ろす操作を30 秒間隔で3回反復した時のケイン上段(赤線)と下段(黒線)の精液の温度変化。
液体窒素残量が約1/3 のタンク(容量11リットル)を使用。

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図4 発泡スチロールの箱を用いた凍結精液ストローのケイン移し替え作業の例

ストローの移動:ストローの印字確認、別のケインへの移し替えは、ステンレス製液体窒素容器あるいは肉厚な発砲スチロール箱に満たした液体窒素の中で行ってください。

・ キャニスターから取り出したケインは、全体が液体窒素の中に浸かるようにしてください。ストローは外気に露出しないようにピンセットを用いて液体窒素の中で保持あるいは移動ください(図4)。

   
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