社団法人ジェネティクス北海道

     

牛凍結精液の融解についてline

line

ストローの取出しと融解

内圧によってストローが破裂したり、綿栓が抜けてストローが飛び出す等の危険があ
ります。タンクから取り出すときや温湯に投入するときはストローをできるだけ人体
から離して取り扱い、融解中のぞき込むような動作をしないでください。

ストローは1 本ずつ取出し、35〜37℃の温水に45 秒以上浸けて完全に融解して
ください。

・ 外気が20℃以下の時はストローを注入直前まで温水に浸けて保管しても良い。
・ 温度計で融解器の水温を確認する。
・ 時計あるいはタイマーを用いてストローの温水への浸漬時間を確認する。
・ 紫外線は精子にダメージを与えるので、直射日光を避けて融解作業を行う。

10 分以内(性選別精液は5分以内)に授精できる数のストローを融解してください。

要領・手順(図1 を参照してください)

@ キャニスターをフロストライン(霜が付着した部位 図1-A)まで持上げ、指に挟み固定する。図1-B

・凍傷になる場合があるので、耐冷手袋の着用が望ましい。

A 融解するストローが収納されているケインのタグ(種雄牛略号・番号)を確認する。

B ケインをピンセットでタンクの外に出ない程度まで持上げ、指で保持する。図1-C

・ ストローはケイン上段に収納されているものから取出す。
・ 下段から取出す時もストローがタンクの外に出ない程度にケインを引き上げる。

C ケインの中からストローを1 本ずつピンセットで取出し、融解器の温水に投入する。

・ 温水に浸けたストローが破裂したり、綿栓が飛びだしたりする危険性があります。
・ 融解時にあたっては、安全ゴーグルを着用してください。ゴーグルを着用できない場合、
  体から離して融解し、のぞき込まないようにしてください。

D ケインをキャニスターに戻し、キャニスターをタンク内に下ろす。

・ ケインは5 秒以内にキャニスターに戻す。
・ フロストラインまで持上げたキャニスターは10 秒以内に液体窒素タンク内に戻す。

図1 液体窒素タンクからの凍結精液の取出し要領(Aの矢印がフロストライン)

※ストロー取出しに時間がかかりそうな場合、一旦ケインとキャニスターをタンク内に戻して、30 秒以上経過したのち、作業を再開してください(図2 参照)。

図2 ストロー取出し操作に伴うケイン上段の凍結精液の温度変化

精液融解時の操作と同様、キャニスターをフロストラインまで持上げて固定、ケインを液体窒素タンクの開口部まで引上げて5 秒保持したのち、キャニス
ター内に戻した。キャニスターはフロストラインまで持上げてから10 秒後にタンク内へ戻して30 秒静置したのち、再び同様の操作を行った。液体窒素量が約1/3 のタンク(容量11 リットル)を使用。

 

融解精液の取扱い

融解精液は寒冷・高温傷害を受けないように注意してください。

・ あらかじめ注入器やシース管を体温程度に温めてから融解したストローをセットする。
・ 20℃以上に温められた精子が10℃以下に急冷されると寒冷傷害をうけます(図3)。
・ 冬季にかぎらず20℃以下になる場合は、ストローをセットした注入器にシースカバーをつけて胸
元あるいは保温器を用いて保温する。
・ 夏季は注入器などの器具が熱くなっていないか確認するとともに、注入器にセットしたストロー
内の精子が高温傷害をうける可能性があるので、できるだけ速やかに注入する。

融解後、10 分以内(選別精液は5 分以内)に注入してください。

時間が経過すると、精子の運動性が低下します(図4)。

図 4 融解後の経過時間と精子運動性

凍結精液ストローを融解し、37℃で10分あるいは20 分保管した精子性状。運動精子と最活発前進精子の割合は対照群(0分)の値を100%として算出。

図 3 融解精子の寒冷感作(低温暴露)による傷害

35℃の温水に1 分間浸漬して融解した精液ストローを、35℃(対照)、20℃、10℃あるいは0℃の水に1分間浸けた後、38℃で4時間培養した場合の成績。運動精子と先体正常精子の割合は対照の値を100%として算出。(Brown et al,1982 のデータを基に作成)


   
  PDFで印刷・保存・閲覧いただけます。