第6回和牛甲子園 倶知安農業高校の挑戦!
令和5年1月19日(木)・20日(金)、東京都品川にて第6回和牛甲子園が開催されました。
その和牛甲子園に北海道の高校が初出場するとのことで、私たちもお邪魔させていただきました!
和牛甲子園
和牛甲子園は全国の農業系高校、なかでも和牛を飼養している学校を対象とした大会で、全国から高校球児ならぬ高校“牛”児が集まります。
本大会は第11回全国和牛能力共進会宮城大会(平成29年)の「復興特別出品区」として高校の部が開催された翌年の平成30年に始まり、毎年開催されています。
一昨年・昨年は新型コロナウイルスの影響によりオンライン開催となりましたが、今年はオンラインと現地開催のハイブリッド開催でした。
今回は23道府県から40校が出場、過去最大規模となりました。
和牛甲子園では、和牛の飼養を通して取り組んだことやその成果、学んだことを発表する「取組評価部門」と、飼養した和牛を実際に出品し枝肉の評価を競う「枝肉評価部門」の2部門があります。
総合得点が最も高い高校が総合優勝として最優秀賞に選ばれます。
取組発表は事前にビデオ審査が行われており、当日入賞校が発表され、その場で発表かビデオ上映かを選ぶという流れ。
エコフィードや未利用資源に関する話題が多く、地元のそういった資源を活用し地域に貢献していこう!という志高い発表ばかりでした。
取組内容のすばらしさもさることながら、資料がかなり作り込まれており、とても勉強になりました。
そして、伝えたい!伝えよう!という意気込みの伝わってくる発表、圧巻されました。
取組発表の資料と動画は和牛甲子園の公式サイトに掲載されていますので、ぜひご覧ください!
枝肉審査は東京都中央卸売市場食肉市場で行われ、セリの様子を高校牛児たちが見守りました。
どんどん上がっていく単価に思わず「おぉ~!」と声が漏れ、高単価がつくと「やったー!」と喜んでいる高校牛児たちの姿はとても微笑ましく、そして心のなかで「やったね!おめでとう!!」と拍手しておりました。
入賞した枝肉は特に、サシの細かさや枝張りがすばらしく、レベルの高さに驚きました。
北海道勢初出場
和牛甲子園に北海道の高校が出場するのはなんと今回が初めて!
北海道からは北海道倶知安農業高校、酪農学園大学附属とわの森三愛高校の2校が出場しました。
とわの森三愛高校は取組評価部門、倶知安農高は取組評価部門と枝肉評価部門に参加しました。
北海道倶知安農業高校
倶知安農高は倶知安町にある後志管内唯一の道立農業高校です。
昭和16年の開校以来、後志管内をはじめ道内各地で活躍する人材を輩出しています。
倶知安農高は生産科学科の単一学科で、1年生は様々な分野を幅広く学び、2年生から農産物の生産から流通、販売までの一連の流れを学ぶ「生産加工コース」と、草花栽培やガーデニング、食材の調理やテーブルコーディネートなどを学ぶ「生活園芸コース」に分かれて専門性を深めていきます。
各コース内にはいくつかの専攻班があり、生産加工コースには肉牛の飼養管理や餌の開発、共進会にも取り組んでいる「畜産班」があります。
現在、2年生が3名、3年生が4名所属しており、うち1名が芋農家、他6名が非農家出身。
皆さん動物や肉牛に興味を持ち倶知安農高に入学しました。
ようてい和牛プロジェクト
畜産班では「ようてい和牛プロジェクト」という独自プロジェクトに取り組んでいます。
倶知安町を含む後志地方のようてい地区はジャガイモの産地です。
倶知安農高では、このジャガイモから作られるデンプン粉の絞り粕(ジャガイモデンプン粕)を使用した飼料の開発・改良を行っています。
そして、この飼料を黒毛和牛に給与し、排出された牛糞を堆肥化、畑へと還元するという地域循環サイクルを確立するとともに、「ようてい和牛」というブランドの創出を目的としたのが「ようてい和牛プロジェクト」です。
ジャガイモを利用した飼料の開発が9~10年前から、ジャガイモデンプン粕サイレージの研究が2年前からと、先輩から受け継ぎ長年取り組んだ成果を和牛甲子園で発表しました。
倶知安農高の発表は、
エコフィードを取り扱った学校のなかでも、ジャガイモデンプン粕という新しい発想で、地域に着目した内容であった。
比較試験を行い、試料成分値も確認するなど、データもきちんと取り、手順も論理的にしっかりと進めている。
また、今回のメインではない取組についても充実していることが感じられる。
と評価され、取組評価部門で優秀賞に選ばれました!
おめでとうございます!!
ジャガイモデンプン粕を利用した飼料開発は前例がほとんどなく、参考にできる文献がないため、自分たちで一からデータを収集し分析するのはとても苦労されたそうです。
「優良賞の発表の時点ですごすぎて、入賞できるかドキドキしました。呼ばれた瞬間『良かった…』と安心しました」(山内さん)
「呼ばれるまで緊張しました。成果を持ち帰ることができて良かったです」(横山さん)
優秀賞に選ばれて、喜びよりも安心している姿が印象的でした。
入賞できたらいいね!ではなく、入賞するぞ!と臨んだからこそ、この感想が出てきたのではないでしょうか。
そして枝肉評価部門に出品されたのが、「ようてい和牛プロジェクト」ジャガイモデンプン粕サイレージを給与した肥育牛第1号の「羊蹄20の68」です。
《第1花藤》
●血統:第1花藤×北乃大福×福谷福 (去勢 28ヶ月齢)
●格付:A4
●BMS No.7
●枝肉重量:475kg
●ロース芯面積:78cm²
●バラ厚:7.6cm
●皮下脂肪厚:1.8cm
●歩留基準値:77.1
MUFAが64.6%、オレイン酸が58.3%と不飽和脂肪酸の含有率が高く、他校の出品牛と比べても優れた値を示していました。
お肉の特別販売会
和牛甲子園に出品したお肉が、コープさっぽろ倶知安店にて2月4日(土)・5日(日)の2日間限定で特別販売されました!
この特別販売会に生徒さんも参加されるとお聞きし、私たちもお邪魔させていただきました。
特別販売会では生徒さん自らお客さまの呼び込みや試食の提供を行いました。
並んでいるお肉はどれも色味が良く、試食のお肉の良い香りも相まって食欲をそそられます。
一般のお客さま以外にも、生徒さんのご家族やご友人も来店され、お肉を購入されていました。
私たちも購入し、お肉を頂きました。
私はモモステーキを食べましたが、弾力があって食べごたえがあり、お肉の味もしっかりしていてとてもおいしかったです!!
「私は今!ステーキを食べている!!」とガッツリ感じることのできるお肉でした。伝わりますか…?
最後に
初めて和牛甲子園にお邪魔させていただき、高校牛児たちが日々真摯に一生懸命に牛と向き合い、様々なことに取り組んでいることを知りました。
本記事を通して、少しでも多くの方に高校牛児がどんなことを、どのように取り組んでいるか知っていただけるキッカケになれば嬉しいです。
倶知安農高の「ようてい和牛プロジェクト」はこれからも続きます。
また、とわの森三愛高校は次回の和牛甲子園「枝肉評価部門」に2頭出品することを目標に動き始めています。
北海道の高校牛児にもご注目ください!!
最後に、和牛甲子園に同行させていただきました、ホクレン、ホクレンくみあい飼料株式会社、北海道酪農畜産協会の皆さま、ありがとうございました。
事業推進部